LOGIN休憩を終えた労働者達が鉱山の中に戻って行く最中、俺達はロックドラゴンが現れたダンジョンゲートを見つめていた。 監督官の男が、額の汗を拭いながら説明してくれた。「このダンジョンゲートの中はどうなっているか分かりません。中に入って行った冒険者達は戻って来た事がありませんので」「ロックドラゴン程度なら冒険者パーティでも倒せたみたいだけど、。三種ドラゴンは倒せなかったんだな」 ダンジョンゲートに潜入してみる事にした。 中は鉱山と変わらない洞窟型のダンジョンとなっている。周囲には破壊された採掘道具、壊れた武器。 中には喰い殺された冒険者の遺骨が転がっている。それだけで、この先の危険度が嫌でも伝わってきた。 地図を展開すると広大となっていて、まだ未攻略だからマッピングすら出来ていなかった。「とりあえず皆、攻略をお願いするよ!」 俺の魂から亡者騎士団・戦闘モードの二足歩行型兵隊アリ達がダンジョン攻略を開始してくれた。 アンデッド兵士達が進む度に地図が徐々に広がって行き、敵と認知された赤く光るロックドラゴンの点滅が消える。 地図を皆に共有してあり、それを見たリチャード王が答えた。「俺達はただ歩いてるだけかよ! こんな冒険者共は見た事ないぞ。それにダンジョンマップまで見えるなんて……普通は迷子になったりして、トラップを警戒したりするもんだぞ?」「トラップも予め皆がわざと引っかかったお陰で、後から来る私達は発動しないので大丈夫ですよ」 足元のスイッチを押された後があり、天井からドラゴンの炎のブレスが発動して焼け焦げた大地となった場所、氷のブレスで大地が凍結した場所等がある。「他の冒険者達も罠に引っ掛かったんだな」 焼け焦げた遺骨・未だ凍結されたままの冒険者達を弔いながら進む。「地図をみると三つの部屋に、それぞれドラゴンがいる可能性がありますね」 真っ直ぐ進むとルートに別れていて、ロックドラゴンよりも大きいのが三つ点滅していた。 他の兵隊達もドラゴンと戦闘しているのか、急激に神魔力量の減りが早くなった。 一つ目の開いた部屋に進むと、竜の鱗状となったルビーが精製されたルビードラゴンがアンデッド兵士達をルビーの鉤爪で切り裂いていた。『グルギャオオオオオオオオッ‼︎‼︎』 ルビ
ラヴレスト城を出発して半日。 馬車の窓の外に広がる景色は次第に緑を失い、岩肌色に変わっていく。 様々な鉱山地帯となっていて、労働者達も奴隷として雇われた人達も共に仲良く採掘作業をしていた。 そして――鉱山国家ラヴレストの中心部。 地面は黒く、空気はわずかに金属の匂いを含み、遠くからは絶え間なく響く採掘音が重なっている。「ここが目的の鉱山。奴隷と言うからには、過酷で強制的に無理やり働かせたり、動けない奴隷には鞭で叩く……何て事を想像してたのですが……」 向かい席に座っているリチャード王は、眉間に皺を寄せて怪訝な表情で俺を見て答えた。「それは数世代前の奴隷達にやらせていたらしいな。だが、そんな事をすれば採掘の時間が勿体無い。いかに効率良く、勤勉に働いてくれるかが問題だからな。たった半月で採掘ノルマも達成……していたんだ」 リチャード王は静かに鉱山の奥を指差した。「問題の場所は、あそこだ」 ゼルンが息を呑む。 鉱山にはダンジョンゲートが発生していて、数体のドラゴンが出現して暴れていた。「アレはランクBのロックドラゴンです。岩や鉱石を主食としていて肌も岩石となっていて、体から鉱石を精製するのが特徴ですな」「そうだ。アレが後に赤・青・緑、その他の鉱石を食べて成長することでルビー・サファイア・エメラルドドラゴンになるのだ」 冒険者達が必死にロックドラゴンと戦闘をしていて、巨大なハンマーで叩くと同時に爆発を巻き起こして何とか倒したみたいだ。「リチャード王が来てくださったぞ!」 俺達は到着すると、労働者達はリチャード王を見て片膝を下げて挨拶をする。「皆楽にしていいぞ。冒険者諸君もご苦労だったな」 監督官役のマッチョな男性が立ち上がり話しかけた。「リチャード王よ。今日は何か必要な鉱石でも取りに来ましたか?」「今回は違う。俺やお前達が困っていた事を、この美女達が解決しに来てくださった」「てことは……まさか、あの三種ドラゴンをですか!?」 監督官や周りの労働者達も一斉に驚く、まぁ、こんなムキムキマッチョマン達でさえ倒せない。 それなのに、魔法が使える程度の女達に何が出来るって思われても仕方ない。「ありがとうございます! 今まで幾度も挑戦してきた冒険者達でも敵わなかったドラゴンですからね。十分お気をつけください」「あっ、ありがとうござい
モーガンの屋敷に一泊させてもらった翌日。 俺達はラヴレスト城へと向かう最中、早速モーガンとロゼッタさんに現代馬車を体感してもらった。「座り心地もフカフカで良いわ、何より一切の振動も無い。それに車内で優雅に飲み物まで飲めるなんて……長旅でも飽きそうに無いわ」『それにこの上から流れてくる音楽……心に余裕が生まれてくる』 2人の趣味に合う馬車のお願いを聞いて《錬金術》で魔改造、チューニングしたから発想の幅が広がった。 過去の転移者が楽器を広めた事で、この異世界にも音楽が広まり、オーケストラは貴族の嗜みの一つとなった。 バイオリン一つだけで心が癒されるような組曲に、2人は感動しているが俺の選んだ曲のセンスが良かったらしい。 少し馬車を歩かせたら、ラヴレスト城の立派な白壁が見えてきた。 侵入者を防ぐ巨大な鉄門。 鉱山王国に相応しく、王城そのものが黒鉄と白鉄が石壁に《錬金術》で合体されて頑丈に重厚な造りになっていた。 生半可な物理・魔法攻撃では傷一つ出来なさそうに思えた。 見張りの女性兵士の2人は、リチャード王の趣味なのか美女、可愛い女となっていた。 モーガンが見張りと話した後、難なく鉄門を開いて中に入れてくれた。「そういえば、急遽来る事になって。リチャード王の迷惑にはなりませんか?『兄上は男の用件は嫌いですが、皆様みたいな美女揃いには喜んで歓迎してくれますので。ご安心を』 あまり安心したくはないが……不機嫌にならないだけマシか。 とりあえず《ネットショップ》で、手土産になる物を選んでおくか。 まぁ性欲魔人らしいからな……大人の玩具でも適当に見繕っておけば喜んでもらえるかも。 玄関先では人間・獣人・エルフという、三種族の美女メイド達が出迎えてくれた。「ようこそ、モーガン様。ハーレム王は朝食中となっております。他の女性客人が来た事を伝えた所、皆様も朝食にとご案内を命じられました」 自分とこの主をニックネームのハーレム王と呼んでいるのは意外だな。『では喜んで、私達もご一緒させてもらおうか』「かしこまりました。お客様のお荷物をお持ちしましょうか? 一応危険な物がないかの荷物チェックも兼ねたいのですが」 エルフ種の美人メイド長が、俺の手土産袋に目が入ったみたいだ。「これはリチャード王への手土産物となっています。チ
朝食を済ませて馬車を少し歩かせると、やっとラヴレスト王国に到着。 朝日を浴びた白亜の外壁。門前には商人や冒険者達が長蛇の列を作り、男性2人の見張り兵が入国検査を行なっていた。 貴族用ルートに馬車を並ばせて進むと、見張り男性が窓をノックして来て開ける。「これはゼルン殿ではありませんか!」「いつも警備ご苦労様です!」 俺は話の邪魔をしない為に、わざとメイドらしく振る舞う。「見た事もない立派な馬車でしたので何処かの貴族かと思いましたよ。こちらのメイドは……ほぉ、他国から美しく綺麗な奴隷を買い取ったのですね!」「バカモノ! ワシは奴隷商人から手を洗ったと言っているだろう! それにこの方は奴隷ではない。キャメロット王国現女王。クロエ・ペンドラゴン様だぞ。前の馬車はローゼリアンデッド王国のシグルーン女王をいらっしゃるんだ」 ゼルンは顔面蒼白色になりながら、慌てて窓から顔を出して大声で叫ぶと状況を理解したらしい。「大変申し訳ございません! おい。この二台の馬車を今すぐに通せ!」「はっ!」 見張り兵は慌てながら門を開通させてくれて、中に入れさせてもらった。 自国の商人・冒険者パーティはスムーズに通るが、他国の場合は念入りな検査は当然である。 現代には金属探知機があるから脱がなくても良いが、こっちにはそんな便利な機械がない。 簡易的なカーテンでプライバシー保護をされているが、中で脱いで持ち物検査等を受ける必要があるみたいだ。 俺は貴族特権でスルーさせてもらったのはありがたい。 ♢♢♢ 街中は朝から活気溢れている"奴隷"と言いつつ、悪いイメージはあったものの、印象は大きく変わった。 獣人種の奴隷達は働かされているが、それは強制的というよりは自ら率先して働いているという感じだな。 力自慢の獣人達は建物作りしたり、女性獣人はご主人様の老人と共に朝の屋台市場で買い物もしたりしている。「ゼルンさんはなぜ奴隷商人を辞めたのですか?」「盗賊達が何処ぞから拉致して来ても、買取手が現れるまでワシが面倒見ないといけませんからな。それに奴隷税も1人当たり分を支払いしないと……国から懲罰を受けたりしますので。真っ当な商人としては生きた商品は色々とデメリットが多いのですぞ」「そんなのもあるんですね」 奴隷制度そのものは現代人としてモヤモヤするけど、この国では一
「このペースだと後、数時間で到着しそうですな」「分かりました」 本来なら1週間掛けて到着する距離だが、モンスターや盗賊をも簡単に倒してスムーズに到着しそうだと言ってくれた。 国境を超えた辺りからは獣人種達を多く見かける様になり、犬耳・猫耳とそして尻尾。 獣人種の中には人間種よりもガタイが良く、まるで筋肉の塊みたいなのもいる。こんな鍛えられていたら魔法なんか使えなくても、圧倒的な物理攻撃力でも何とかなりそうな勢いがある。 5日目の朝、本来ならば夜中も常に夜行性型モンスター、他にもアンデッド系モンスターが多く出現するらしい。 だが俺のアンデッドの美女兵士達に敵うはずもなく、ゼルンが雇った護衛・冒険者パーティ達もわざわざ命を掛けずに済む。 窓から手を振っているのが見えて開くと、馬に乗っている護衛・冒険者パーティが話しかけてきた。「このホットコーンスープという飲み物、実に美味かった。ありがとうございます」「えぇ、まさか長旅中に新鮮な野菜を使った「サンドイッチ」が食べられるなんて思ってもみなかったわ」「というか本来は俺達が護衛として雇われたのに、何もせず付いてきてるだけだからな。それはそれで申し訳なく思ってきたな」「しかも私達の装備もバージョンアップしてくれて感謝しています!」 彼等の為に夜中も見張りながら進むから、馬の為に休ませたり一時休憩も取っている。 その時に夜食として体が温まるコーンスープ(保温ボトル)やサンドイッチを提供してあげた。 彼等が使っている防具・武器は使い込まれていたから、時間魔法・《リバース》で新品同様にした。 そこから彼等が欲しがっていた、魔法属性を《錬金術》で付与してあげて攻撃力・防御力を上げる事ができた。 言わばコレはどこまで《錬金術》として属性付与したり、防具・武器の能力値を上昇させる事が出来るかという実験も兼ねていたのだ。「満足していただけで良かったです。武器・防具に関してはコレを使って他の冒険者達にも広めておいてくださいね」「ここまでしてくれたんだ。言われなくてもクロエ様の事を他の連中にも話しておきますよ!」 「早く実戦で使ってみたいけど。まずは馬達を休憩させたいので、あそこの広場で休みましょう」「では世が明けたので朝食にしましょう」 この数日間を共にしたが、ゼルンはストレスや苦痛どころか快適な旅だ
石畳の道を馬車が歩いていると、空からファイアドラゴンの群れが睨み付けていた。 地上のモンスターならともかく、空を飛ぶモンスターには神聖属性の魔石の効果が届かないみたいだな。 魔力汚染されたファイアドラゴンの両翼が真っ赤に燃え上がり、口元へと炎熱が溜まりーー。『グルギャオオオオッ‼︎‼︎』 激しい咆哮と同時に、高純度の熱線を吐いて襲って来た。「ど、どどどどうしますか!? A級のファイアドラゴンですよ!?」「この中にいたら大丈夫ですよ」 《魔導障壁》が展開されているとさっき説明したが、いきなりこんなモンスターが襲って来るのは予想外だったのだから、ゼルンが慌てふためくのは仕方ない。 前の馬車にいたセレナとシグルーンから届いた《念話》を、頭上にある電話機を取る。と言ってもアンティーク風なデザインで話だけできるタイプだ。「上のドラゴンはどうしますか?」 「私が片付けてましょうか?」 『ボク達なら楽勝だけど』 確かに今の皆なら楽勝だろうけど、空中戦なら時間が掛かる。 ならばこちら側も空中戦に切り替えて、簡単に決着を付けた方が早い。「大丈夫だよ。空中戦が得意な天使達がいるからな。ルミエル。天使達と共に行け」『我がマスターの為に勝利を捧げるぞ!』 俺の魂からルミエルを筆頭に出ていった天使達が、炎の熱線にわざと飲み込まれながらも直接、ファイアドラゴンの開いた口から脳天へと剣を突き刺さして倒した。 《魔導障壁》か展開されている馬車にはダメージ一つなく、炎の熱ささえも感じない。 室内は一定の温度調整されているから、暑すぎず・寒すぎない環境となっている。 ゼルンは窓を開け身を乗り出して、見上げながら驚いていた。「あのファイアドラゴンが……蚊みたいに落ちていく……。あの天使は神聖教会が召喚する召喚獣・天使ですな! よろしければファイアドラゴンの素材を買い取らせて頂きたい。ラヴレスト王国の鍛冶屋に素材を卸しましょう!」「では到着次第取引しましょう」 今が楽しくて物流のことを完全に忘れていた。 ルミエルに頼みファイア・ドラゴンを全て収納魔法・《インベントリー》に収納する。「まさか《インベントリー》までお使いになれるとは、やはり魔導士としての才能もお待ちだとは」「商人なら沢山の物を持つから必須だと思っていましたが?







